補償額は数兆円規模に…東電、巨額の費用負担

東京電力福島第一原発の1〜4号機の廃炉を決断した。

 今後、東電は廃炉にかかる巨額の費用を負担しながら、原発周辺の住民への損害賠償にも対応しなくてはならない。さらに、社債の償還や火力発電所の増設費用なども東電に資金負担が重くのしかかる。被災者への賠償を確実に行うために政府は東電の経営を支え続けざるを得ない。賠償額の規模次第では、国有化を視野に入れた再建策を検討せざるを得ないとの見方も浮上している。

 ◆膨らむ額

 東電は廃炉を決めたが、必要な資金は巨額だ。中部電力浜岡原発1、2号機の廃炉を決めているが、1基あたり約1000億円の費用を見込んでいる。これをそのまま当てはめれば、福島第一の廃炉費は4000億円だが、浜岡原発は普通に稼働しており、「福島第一は事故で、放射性物質も外部に漏れており、廃炉にかかる費用はさらに膨らむ」(大手アナリスト)との見方がある。

 5000億円を超える損失になる可能性もあり、過去に積んでいる引当金を超えることは確実だ。

 ◆緊急融資 

 さらに、原発が稼働できない分、火力発電所を再稼働させるなどの対策費も必要になる。発電のための燃料として、石油や液化天然ガス(LNG)を調達する必要があり、年間4000億円から1兆円程度のコスト増になるとの見方もある。また、2011年度だけで、社債の償還や借入金の返済などで7000億円規模の費用も必要だ。

 東電の10年12月末の手持ち資金は4320億円。3メガバンクを含む大手銀行7行が31日までに1兆8500億円の緊急融資を行うため、当面の資金繰りには問題はない。今後について、勝俣恒久会長は「政府と協議しながら資金不足に陥らないように努力する」と述べている。

 財務面をみても、東電の単体ベース(10年3月期)の自己資本比率は17・1%と国内電力10社平均(22・3%)を下回っている。財務体質の悪化を食い止めるため、資産売却などを進める必要が出てきそうだ。勝俣会長も「民間企業として最大限のコストダウン、スリム化を図っていく」と大規模リストラを行う方針だ。

 ◆原子力賠償法 

 最大の懸念材料は賠償金の負担額だ。1999年9月に茨城県東海村の核燃料加工会社「ジェー・シー・オー(JCO)」で起きた臨界事故では、住民の健康被害や出荷できなくなった農産物の補償などにJCOが約150億円を支払った。

 JCOでは避難対象が半径350メートルだったが、福島第一原発では半径20キロ・メートルと桁外れに広い範囲に避難指示が出ている。放射性物質による農作物への風評被害も補償対象となる見通しだ。計画停電についても補償を求める声が出る可能性もあり、「補償額は数兆円規模になるのでは」(経済官庁幹部)との見方もある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110331-00000226-yom-bus_all

本当に災難でしたね、早期復興をお祈りしています。